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弱視ってなあに?

弱視専門外来

メガネをかけても一生涯ハッキリ
見えない
〝弱視の子ども達〟

生まれたばかりの赤ちゃんの目は、形はほぼ完成していますが、視力は未熟で目の前の光がぼんやりと見える程度です。言葉や歩行と一緒で、繰り返しの訓練によって〝見る〟力を獲得していき、3~4歳で過半数のお子様が1.0までの視力に達します。弱視とは、この視力の成長期に、何らかの邪魔が入って正常な成長が止まってしまい、〝メガネやコンタクトをしても視力が出ない状態〟を言います。誤解されがちですが、メガネでもコンタクトでもレーシックでも・・・何らかの矯正をして視力が出るのであれば弱視とは言いません。後でどんなことをしても〝見えない〟ことが最大の問題なのです。
弱視は40歳以下の片眼失明原因の第1位で、片眼弱視の子どもが大人になって他眼の視力障害をきたした場合、同じ仕事を続けられる割合はわずか35%と言われます。他にも遠近感が乏しいため、スポーツが苦手、3D映像が分からない、パイロットなど諦めなければならない職種がある、うつ病のリスク上昇など・・・子どもの将来に大きな影響を与える可能性があります。未来ある子ども達のため、弱視は必ず治療しなければなりません。

  • 弱視専門外来

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6〜8歳が
治療のタイムリミット!!

就学前健診まで待たないで・・・3歳児健診が弱視発見のラストチャンス!?

〝まだ字も読めない3歳児が視力検査を受けなくても、小学校入学前の検査で大丈夫〟と思っていませんか?小学生から治療しようと思っても、残念ながら、すでに治療のベストな時期は過ぎています。赤ちゃんの視力は、ピントが合った映像が脳に送られ、脳細胞を刺激することで発達、〝見る〟という能力として徐々に獲得していきます。生まれたての赤ちゃんは光を感じる程度しか見えず、そこから3歳までに急激に発達、6歳頃には完成します。つまり逆を言えば、6歳以降ではすでに感受性期を過ぎてしまい、視覚の獲得は難しくなることを指します。子ども達が視力検査を受けるチャンスは、3歳児健診の次は、眼科を受診しない限り就学前健診になります。そのため3歳児健診での弱視発見が必須で、ラストチャンスと言っても過言ではないのです。

弱視専門外来

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50⼈に1⼈の⼦どもが〝弱視〟

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4歳までの治療開始で95%が治ります

弱視は、決して稀な疾患ではありません。子どもの弱視の有病率は2~5%と言われています。これは実に50人に1人、毎年2万人前後の子ども達が弱視という計算になります(年間出生数100万人弱)。実は、私自身も妹も遠視があり幼少時に弱視治療をしていました。眼科医である母(当院院長)でさえ、最初はまさかという気持ちが一番だったそうです。まさかうちの子が・・・皆が思う事ですが今一度、お子様の目に注意を向けてみてください。弱視は特別なものではなく、誰にでも起り得るもの、眼科医の娘でも誰でもです。
現在の医療をもってしても治療法のない病気は多々あります。でも弱視は違います。弱視は4歳までに治療開始すれば95%、7歳までで75%以上が治ります。治療開始が低年齢ほど効果は大きく、早期発見・治療が何より大切です。ただ、もし見逃してしまっても諦めないでください!8歳を過ぎると確かに治療に反応しにくくなりますが、可能性がゼロというわけではありません。必ず眼科医に相談してください。

70%以上が健診で見逃し・・・
なぜ弱視は見逃されるの?

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子どもの〝見えてる〟は信じちゃダメ!
幼児は視力0.2で生活できます!

子どもの弱視発見は非常に困難です。幼児は視力0.2あれば不自由なく行動でき、ご両親でさえお子様が見えていないことにほぼ気づけません。片眼が良ければなおさらです。さらに見えにくい眼を検査する際は、見えないとは言わず、協力的でないことがほとんどです(子どもは苦手なことをさせられる時、不機嫌になったり、ふざけたりしますよね?)。
自覚症状を訴えない、イヤイヤ期の子ども達の検査は非常に難しく、ラストチャンスのはずの3歳児健診での弱視逃しが、残念ながら70%以上に達します。
3歳児健診の一次検査は、現状93%の自治体で保護者にお任せ、「お母さんが家で視力検査やってみてね。見えていなかったら相談してね。」というスタンスです。これも自治体ごとで異なるうえ、家庭での視力検査と問診だけでは異常の見逃しや、そもそも忙しくて未実施という可能性もあり、精度は低いと言わざるを得ません。加えて二次検査でも、人件費や人員不足により視能訓練士(眼科検査専門のスタッフ)による検査が一般化せず、眼科医による実施はわずか4.8%です。
現場の健診スタッフは、一生懸命検査しています。一番知って頂きたいことは、せっかく健診で〝要精密検査〟となっても、眼科受診させていないご家庭が35%、3人に1人に上ることです。
〝異常と言われても、見えていそうだし大丈夫だろう〟〝まだ小さいし、もう少し大きくなってから眼科にいこう〟など、親が正しい知識をもっていないこと、両親に対する正しい知識を提供できていない制度自体に問題があると思います。

0歳の⾚ちゃんからでも
検査できます!

弱視専門外来

スポットビジョンスクリーナー

〝もっと早く知っていれば・・・〟必ずご両親が口にする言葉です。眼科医として、これほど辛い言葉はありません。最近は視力検査ができない0歳の赤ちゃんからでも、数秒で簡単な弱視チェックが出来る機械(スポットビジョンスクリーナー)があります!
小児科学会でも強く推奨され、3歳児健診を待たずに検査する方が増えてきています。少しでも不安があれば3歳を待たず、また3歳児健診での見逃しも考慮して眼科で再検査をすることが大切です。私も2児の母です。子育てに忙しい気持ちは痛い程分かりますが、子どもは「弱視になりたくないから、眼科に連れて行って」とは言いません。大人が思っているような〝見える世界〟自体を知らないので、自分では気づきようがないのです。大切なお子様の目を守るのは、まずはご両親、そして眼科医の使命です。どうぞ専門医師にご相談ください。

4つに分類・・・
一番多いのは遠視!

① 屈折異常弱視

弱視専門外来

ある程度以上の遠視、乱視、近視(まとめて屈折異常)によりおこる、両眼性の弱視です。なかでも遠視の頻度が最も高く、近視では低いです。
遠視は近視の逆で〝近くは見えにくいけれど遠くは見える〟と思っていませんか?近視は近くでピントが合うのに対し、強い遠視や乱視では、遠くにも近くにもピントが合わず、脳が刺激されるチャンスがどこにもありません。このため弱視になりやすいのです。勿論、近視も非常に程度が強いと弱視になる危険性、また他の疾患の原因になる可能性もあるため注意が必要です。治療はピントがはっきり合うようメガネを常用します。速やかに視力向上することが多く、予後良好です。

② 不同視弱視

大きく分類すると①に含まれ、片眼だけに屈折異常(遠視など)がある、度数に左右差がある等でおこります。一方の眼ははっきり見えるけれどもう一方の眼がはっきり見えない、片眼性の弱視です。片眼が見える場合、子ども達の日常生活には支障がなく、眼科で検査するまでご両親でも気づく事はほぼ不可能です。最も気づかれ難く、最も治療が遅れやすく、さらに治療に反応しにくいタイプでもあります。治療はメガネの常用に加えて、アイパッチ等のプラスの治療をすることが多いです。発見は難しいですが、適切な治療さえ始めることが出来れば、比較的予後良好です。

③ 斜視弱視

斜視とは、右眼と左眼の視線が違う方向を向いている状態です。この時、両眼で見た情報が同時に脳に送られると、像が2つに見えて混乱してしまいます。そのため、生まれつき斜視があるお子様は、ずれている眼の情報をシャットアウトして1つの像として見る能力を自然と獲得しています(これを〝抑制〟と言います)。しかし、抑制がかかった方の眼は使っていない状態と同じなので、弱視になるリスクが出てきます。特に内斜視のお子様は、高確率で弱視を合併するため、すぐにご相談ください。治療は、屈折異常がある場合はメガネを常用し、アイパッチ等でずれている眼で見る訓練を行います。斜視の種類によっては、早期手術となることもあり、①②よりは治療に反応しにくい場合があります。

④ 形態覚遮断弱視

視力の発達時期に視覚情報が遮断されて起こる弱視で、片眼性も両眼性もあります。先天性の眼瞼下垂や白内障、眼帯などでも起ります。治療はまず原因の除去、その後は必要ならメガネやアイパッチ等をします。予後は発症時期、原因を除去できた時期、片眼性か両眼性か等によって変わりますが、状況によっては治療が難しいことが多いです。

弱視と診断されたら…
どんな治療をするの?

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基本はメガネ一択!!

まずは目薬をつかった検査で、お子様にあったメガネを作ります。大切なのは常用・・〝お風呂の時と眠る時以外はずっとかける〟ということです。幼いお子様、発達がゆっくりのお子様用のメガネなんて無理でしょ?とお考えになるご両親は多いと思います。また(失礼ですが)、特にご年配の方に〝小さな子どもにメガネなんてかわいそう〟という認識が多いように感じますが、今治療しなければ、メガネでも視力が出ないまま一生を過ごすことになります。弱視治療にメガネは欠かせません。メガネをかけず、弱視になる事こそかわいそうなことです。〝治療ができるうちに気づけてよかった〟と前向きにとらえてください。
実は0歳用、発達がゆっくりのお子様用のメガネだってあります。勿論、最初は嫌がってかけてくれません。ご機嫌が良い時に短時間でもかけて、とにかく褒める。そうして徐々にメガネを好きなれば、もう半分以上は治療成功です。さらに視力が上がれば〝見える世界〟を知り、小さな子でも自分で喜んでかけるようになります。早期発見は早期治療につながります。幼い子程、慣れるのも早く、治療の反応性も良好です。根気がいる弱視治療、一緒に頑張りましょう!
※弱視・斜視などの治療用メガネは、健康保険が適用され、代金の一部が療養費として払い戻されます(9歳未満)。お問い合わせください。

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アイパッチであとひとおし!

片眼性の弱視の場合や、治療で片眼の視力だけ先に向上した場合、アイパッチを行います。両手があっても利き手をよく使うように、よく見える方の目をより使います。そのため見えにくい目の視力は上がりにくく、アイパッチで見える方の目を隠して、見えにくい方の目を鍛えます。
アイパッチはただすれば良いのではなく、適切な場面や方法があります。また、ご両親に〝アイパッチさせて〟と言うのは簡単ですが、嫌がるお子様相手にとても大変だと思います。〝どのようにアイパッチさせるか〟等も、ゆっくりご相談させて頂きますので悩まずお声がけください。